アサヒクオリティ&イノベーションズ株式会社が、"アーリーアダプター"を見極め、新商品の市場検証に挑んだ軌跡

最終更新日:
2026/03/30
アサヒクオリティ&イノベーションズ株式会社が、"アーリーアダプター"を見極め、新商品の市場検証に挑んだ軌跡

監修者

  • 國井 桃花

    ReBear合同会社
    リードマーケター

    早稲田大学卒業後、楽天グループ株式会社に入社。営業を経験後、時間と場所にとらわれない働き方に憧れ、楽天を退社しノマドの聖地と呼ばれる東欧ジョージアに移住。Webスキルを学んでフリーランスに転身し、ReBearにWebデザイナー兼SNSマーケターとして参画。 現在はaZリサーチのリードマーケターとして、サービスの運営や拡大に関わっている。

    國井 桃花
    ReBear合同会社
    リードマーケター
    國井 桃花

アサヒクオリティ&イノベーションズ株式会社(以下、AQI)は、アサヒグループ全体の研究・開発機能を担う独立研究子会社です。 酒類、飲料、食品をはじめとした幅広い領域で、基礎研究から商品開発、品質保証までを一貫して支え、グループ各社のものづくりや事業戦略に技術面から貢献しています。 AQI社は、未来のお客様のWell-beingに役立つ革新的な商品やサービスを産み出すべく、10年後の理想的な社会/生活を想定した「未来シナリオ」を独自に作成し、それを基にバックキャスティング思考でR&Dを推進しています。新しい商品や技術は魅力的である一方、消費者や市場に受け入れられるかどうかの不確実性も高く、導入・拡大には慎重な検証が必要です。 こうした背景のもと、AQIでは新規性の高い技術や商品の価値を、より確実に市場に届けるための方法として、アーリーアダプターを活用した市場検証プロジェクトに取り組むことになりました。

目次

アーリーアダプターから始める商品検証

― 今回のプロジェクトは、どのような背景で立ち上がったのでしょうか?

黒川さん:
「一番の目的は、新商品・サービスの市場での失敗を減らすことです。
弊社は未来のお客様のWell-beingに役立つ革新的な商品やサービスを産み出すべく中長期的な研究開発テーマを推進しています。ただし、これまでにない商品・サービスほど市場での失敗確率が高くなるという課題もありました。

そこで、最初からアーリーアダプターに使ってもらえる商品・サービスを世に出すことで、より自然に広がり、キャズムを越えていけるのではないかと考えました。その仮説を検証するために、このプロジェクトを立ち上げました。」

イノベーターではなく、アーリーアダプターを選んだ理由

― 黒川さんは、いつ頃からアーリーアダプターに着目していたのですか?

黒川さん:
「私が入社したのが2022年で、その頃から社内では『未来のお客様になりうるZ世代向けに何か仕掛けたい』という話が出ており、2023年から正式にプロジェクトとして動き出しました。
会社としては以前から、『感度の高い人をどうやって集めるか』というテーマ自体は考えてきましたが、アーリーアダプターを明確に定義し、検証対象として扱ったのは今回が初めてでした。」

― なぜイノベーターではなく、アーリーアダプターだったのでしょうか?

黒川さん:
「イノベーターとアーリーアダプターは、どちらも『感度の高い人』という点では共通しています。

イノベーターは新しいものへの感度は高いですが、必ずしも人に勧めるモチベーションが高いわけではありません。
一方で、アーリーアダプターは『これ、良いよ』と自然に周囲へ共有する行動を取る人が多いです。製品を広める存在として考えると、アーリーアダプターの方が適していると考えました。」

アーリーアダプター指標が「実務で使えない」という課題

― 社内では、どのような課題を抱えていたのでしょうか?

黒川さん:

「最大の課題は、アーリーアダプターを見極める指標の精度でした。
過去に既存の調査会社を通じてアーリーアダプターとされるパネルを集め、インタビュー調査を行ったことがあります。その結果をもとにグループ会社へサービスの提案を行いましたが、『アーリーアダプターを特定できている精度が低い』という評価を受けました。

実際に内容を精査すると、アーリーアダプターとして妥当だと判断できたのは全体の約60%にとどまり、残りの40%は実務で活用するには難しいという結果でした。この経験から、従来の定義や手法では『本当に新商品を広める層』を十分に捉えきれていないのではないかという問題意識が強まり、より信頼性の高い手法開発が不可欠だと強く感じていました。」

「集め方」を変えるだけで、パネルの質が変わる

― aZリサーチを選んだ理由は何だったのでしょうか?

黒川さん:
「展示会で御社のブースを訪れたことがきっかけです。お話を伺う中で、モニターの集め方そのものが、これまで接してきた調査会社と根本的に違うと感じました。

一般的な調査会社のモニターは、ポイントや謝礼を目的にアルバイト感覚で参加している人も多く、アーリーアダプターとして期待する行動特性とずれてしまうことがあります。
その点、aZリサーチはZ世代向けのイベントを起点に人を集め、参加者をパネル化しているのが特徴です。『お金目的』ではなく、『コミュニティに参加したい』『新しい体験に関わりたい』という動機で集まっている点が、求めている若者像に近いと感じました。」

― 他の調査会社との違いはどのような点に感じましたか?

黒川さん:
「実際に調査をしてみると、アーリーアダプターとして妥当だと感じられる参加者の割合は、他社と比べて2〜3倍ほど多い印象でした。
100%正確に特定することは難しいですが、『広める可能性が高い人』を効率よく集められている点は、大きな違いだと思います。」

調査にとどまらない、伴走型の提案と解釈

― 提案やプロジェクト初期のやり取りで、印象に残った点はありますか?

黒川さん:
「依頼内容をそのまま実行するのではなく、『アーリーアダプターをより効率的に集めるためには、こういった施策も考えられます』と踏み込んだ提案をしていただけた点が印象的でした。
また、インタビュー結果の解釈や打ち合わせの場面でも、御社の社員の方が私たちよりZ世代に近い感覚を持っており、その視点を交えて整理・ブラッシュアップしてくれたことが非常に参考になりました。

社員さんご自身の経験を踏まえ、『この結果なら、次はこういう切り口で深掘りできそうです』と方向性まで示してもらえた点も、これまでの調査会社にはなかった部分です。単なる調査ではなく、伴走してもらっている感覚がありました。」

丁寧な選定が生んだ、Z世代のリアルと高い成果

AQIでは、2回目の調査として、アーリーアダプターを集めたワークショップをしていました。

― aZリサーチにおいて特に良かった点はどこでしたか?

黒川さん:
「ワークショップでは、事前面談を行って対象者を丁寧に選定してくれました。その結果、質の高いインタビューとワークショップが実現できたと感じています。
今まで見えなかったZ世代のリアルに触れられましたし、感度の高い人が多く、今の流行や空気感がよく分かる点も強みだと感じました。」

― ワークショップで印象に残ったことは何ですか?

黒川さん:
「参加者がワークショップの最中にSNSで製品情報を調べ始めたり、その場で新商品案が次々に出てきたりした点です。
正直、これまでの調査ではあまり見たことのない光景でしたし、出てくるアイデアも新しく、アーリーアダプターらしさを強く感じました。」

より大規模なアーリーアダプター検証への期待

― 今後、aZリサーチに期待することは何ですか?

黒川さん:
「今後は、より課題を絞ったテーマであっても、大規模なパネルを用意できたり、アーリーアダプターを200名規模で集められたりすると理想的だと考えています。

定性調査だけでなく、定量データが求められる場面もありますので、その両方に対応できるようになると、さらに活用の幅が広がると思います。」

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